自動車の駆動方式には、大きく分けて手動変速と自動変速があります。
手動変速はマニュアルトランスミッションと呼ばれ、略称としてはMTで表現されています。一方の自動変速は、オートマチックトランスミッションと呼ばれ、略称としてATで表現されるのが一般的です。
最近はこの自動変速の中にもいくつかの分類が分けられ、代表的なのがCVTと呼ばれる無段変速機構です。
また欧州車をメインに普及が進んでいる、DCT(デュアルクラッチトランスミッション)もATの一つといえます。
AT車の市場の拡大とMT車の衰退
欧州では昔からMT(マニュアルトランスミッション)の車の普及率が高かったのですが、日本国内の市場においても、80年代半ばくらいまでは、MT車の販売比率の方が高い状態でした。
当時のAT(オートマチックトランスミッション)は4速AT、軽自動車では3ATが主流で、ギアレンジの狭さに加え、トルクコンバータのロスも大きくもっさりとした発信加速が特徴で、MTのようなダイレクト感とは全く無縁のものでした。
燃費もギアレンジの狭さと流体のロスが影響し、MT車に比べ1割から2割程度悪いのが普通でした。なので、今もAT車はMT車より燃費が悪いと思っている方も多いようです。
90年代になると、この比率が一気に逆転し、なんとその比率はAT車が8割でMT車が2割といった状況代わりました。
この一番大きな要因は、1991年に制定された「AT車限定免許制度」とCVTを含めたATの進化です。
MT車も運転できる通常の自動車免許に比べ、割安で自動車免許を取得できるという「AT車限定免許制度」が大きく普及し、ロックアップ機構の採用や多段化、それらを緻密に制御する電子制御の進化により、自動車各メーカーのAT車の性能が飛躍的に向上し、より快適&経済的なドライビングが楽しめるようになりました。
以降、自動車メーカー各社も新型車はATモデルが販売の中心となり、MTモデルはだんだんと姿を消していくことになりました。
マニュアルモードでスポーツ走行が可能?
現在のAT車は、マニュアルモード付のATを搭載した車種もたくさんありますが、これはATでありながらマニュアル車のような変速を楽しみながらのドライビングが出来るというものです。
MT車のように人間が操作するクラッチでの変速ではなく、コンピュータ制御によってAT内部のクラッチやブレーキをコントロールしギア段を作り出しています。
マニュアルモードによって、例えばワインディング走行時にシフトダウンを行いエンブレを効果的に使った減速等、スポーツ走行が楽しめそうですが、実際はマニュアルトランスミッションのようなダイレクト感はなく、どうしてもロスを感じるようなワンテンポ遅れた減速感となります。
マニュアルモードの目的はMTのようなダイレクトフィールを再現した走り感向上ではなく、従来のATの弱点であったエンブレの利きを対策する事に重きを置いていますので、マニュアルモード付ATでMT車のようなスポーツ走行を期待してしまうと、ややがっかりといった結果になるでしょう。
MTで乗りたい中古車10選
AT車の販売比率が上がりMT車が衰退した原因は、先にも述べた通り自動車メーカーの新型車におけるMT車の設定が大幅に減少したからですが、それでも中古車市場には国産車から外車まで、数多くMT車が流通しています。
中古車市場はすでに生産中止となったMTモデルもたくさん流通していますが、そんな中でも是非MTで乗りたい車種を紹介します。
1.マツダロードスター
やはりマニュアルトランスミッションで楽しむスポーツカーのといえば、日本を代表するといっても過言ではないマツダ(ユーノス)ロードスターです。
マツダロードスターは初代のNA型が1989年に登場し、その後2015年に発売された現行のND型に至るまで、MTモデルの販売比率が半分以上となっています。
実際に中古車市場でも、2代目のNB型のMTモデルだと10万キロ走行車でも60万くらいの中古車価格が付いていますが、ATモデルになると同程度で20万円くらいの相場になっており、MTモデルの人気の高さをうかがえます。
2.マツダRX-7
シーケンシャルターボを搭載した、FD型のモデルはまだ数多く市場に流通しており、流麗なデザインとバブル期に設計・開発された車でもあることから、品質劣化が少ない中古車も多く存在しています。
シーケンシャルターボによって改善はしていますが、まだロータリーエンジン特有の低速トルクの細さは健在なので、MT車での発進にはやや気を使う必要があります。
一旦走り出すとロータリーエンジンの滑らかな回転フィールと、優秀なMTミッションのシフトフィールはまさにピュアスポーツそのものであり、中古車市場でもまだ人気の高い車種です。
3.マツダスピードアクセラ
現在のアクセラには設定されていませんが、2代目のBL系には設定されていたMT専用モデルです。
エンジンは2.3L直4ターボを搭載し、最高出力は264馬力のハイパワーに6速マニュアルミッションを組み合わせた、まさに走りのホットハッチといえる車です。
中古車価格相場も6万キロ走行の2009年式モデルで150万程度で流通していますから、MTで乗れる高性能で実用性も確保したホットハッチとしては、ねらい目の1台とも言えます。
4.トヨタMR-S
かつてトヨタにあった、ミッドシップスポーツのMR-2からオープンスポーツとして進化したモデルがMR-Sですが、そのデザインは不評で日本車の不人気車の1台ともいわれています。
個人的には5ナンバーサイズの枠内でありながら、ロー&ワイドなフォルムは悪くはないと思うのですが、先代のMR-2のアグレッシブなミッドシップスポーツからかけ離れてしまったのも不人気車となった要因のようです。
不人気車ゆえに中古車市場には程度の良いMR-Sが格安でたくさん流通していますので、MTモデルでミッドシップ&オープンスポーツの走行を手軽に楽しめる車種だといえます。
5.トヨタ86
かつてのAE86の復活として登場したトヨタ86もMTで乗りたいスポーツカーです。
AE86のようなライトウエイトなFRモデルではなく、ボディサイズも大型化していますが、スバル製の水平対向エンジンとマニュアルトランスミッションの相性が良く、高い評価を得ています。
安定した人気車種がゆえに、中古車価格相場は高めですがMTで乗って楽しい車の1台です。
6.スズキスイフトスポーツ
スズキの誇るコンパクトスポーツのスイフトは、現在は4代目モデルとなりますが、3代目モデルの1.6L直4エンジンは125PSでありながら1トン程度の車体をキビキビと走らせ、またレッドゾーンを7200rpmに設定した高回転型のユニットはMTと抜群の相性を誇り、多くのユーザーの支持を受けています。
7.スズキカプチーノ
現在は生産されていない軽自動車のFRスポーツカーですが、中古車市場のタマ数も少なくなりつつあるもののまだ手に入れることが可能です。
ただ中古車価格は希少価値も付き始めてきており、年式の割には高めで1990年前半のモデルでも程度によりますが100万円近い値段で取引されています。
3気筒ターボのエンジンは軽自動車の規制枠一杯の64馬力を発揮し、5速MTとの組み合わせで簡単に振り回すことが出来るところが人気の要因となっています。
8.ホンダシビック
ホンダのコンパクトハッチのシビックは、8代目をもって販売不振の国内市場から撤退していましたが、2017年に10代目シビックの日本国内販売が再開されました。
なので8代目までがホンダシビックの中古車として市場に流通していますが、中でも8代目で復活したTYPE RがMTで乗って楽しいシビックだといえます。
9.ダイハツコペン
ダイハツコペンのMT車を選ぶならやはり、初代モデルのL880Kの中古車がベストといえます。
その理由はL880Kに搭載される、4気筒660㏄エンジンのJB-DETユニットは、ターボチャージャー付でありながらも高回転までストレスなく回るエンジンです。
2代目のコペンに搭載されるエンジンは3気筒となり、MTで各ギア段で高回転まで引っ張ってエンジンフィールを楽しむという走りには無縁のユニットになってしまいました。
初代コペンのJB-DETユニットはノーマルでも十分MTでのドライブフィールが楽しめますが、D-SPORTSから発売されている80PS化のECUを換装することで、エンジンのレスポンスはノーマルとは全く別物となり、更に楽しくなる車です。
初代コペンの中古車相場は、後期型は新車と変わらないような高値相場ですが、2003年頃からの前期型であれば、6万キロ走行で80万円くらいの中古車物件も多くあります。
10.スバルインプレッサ
スバルの伝統ともいえる水平対向エンジンを搭載したインプレッサは、初代モデルからWRXというスポーツモデルが設定されており、コンパクトなボディを280馬力かそれ以上のパワーで走らせる事ができるという車です。
当然ながらMTモデルの人気が高く、2007年が最終モデルの2代目インプレッサもまだまだ中古車市場では数多く流通しています。
MTの中古車を購入する時の注意点とは?
マイカー選びの条件として、車を操る・走らせる楽しみを求めるのであれば、MT(マニュアルトランスミッション)の車を選択するのが必須とも言えますが、自動車オーナーが自分の意志で変速を操作するMT車の場合、エンジンや駆動系に想定以上の負荷が掛かっていしまっているという事も想定されます。
高回転まで引っ張ってシフトチェンジを繰り返している車であれば、それだけエンジンやミッションもダメージを受けていますので、MT車の中古車を選ぶ際にはそういった部分をしっかりとチェックする必要があります。
チェックする方法としてはやはりエンジンを実際に始動させて、アイドリングの状態やレーシングした時の、エンジンの振動や音、回転の上がり方をしっかりとチェックする事が大事です。
またマニュアルミッションの変速段をすべてシフトして、齧り感や入りづらさといった状態がないか、出来れば半クラッチで繋いでみて、クラッチの滑り(ジャダー)などもチェックしたいところです。
MT車お中古車選びで失敗しないために
そうは言いながらも、実際に自分でチェックするとなるとその程度善し悪しの見極めは難しいものです。
またMT車の場合は、前オーナーも走り屋だったという事も多く、修復歴の多い中古車も多いのが実状です。
修復歴がある場合は、その旨をきちんと表記することが義務付けられていますが、小さな中古車屋などでは必ずしも守られてていないのが実態です。
MTで乗って楽しい中古車を購入したいけど、その程度の見極めにイマイチ自信がない・・
そんな方には、ネットの「無料中古車探しサービス」がおすすめです。
車を1,000円でも高く買取ってもらう安心・確実な方法
ディーラー下取では 95万円だったアコードハイブリッドでしたが、一括査定を使うと、なんと 130万※で買取ってもらえました。
※ 査定時期:2021年2月
オススメの車一括査定は「MOTA 車買取」です。
- 受付フォームの入力は”45秒”で完了!
- 受付直後の電話ラッシュなし!
- 最短で翌日の18時には査定額を提示!
- 査定額が上位3位(最大)までの業者のみと交渉!
- 完全無料!